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唾液からみたがん患者さんの口の中

2011年03月05日
本日は、唾液に注目してがん患者さんの口の中の状態を考えてみましょう。


唾液の生理作用には大きく分けて2つの重要な作用ががあります。
(1)口腔の健康に関する作用
   ・口腔咽頭洗浄作用
   ・粘膜保護作用
   ・緩衝作用
   ・抗脱灰作用
   ・抗菌・殺菌作用
   ・粘膜修復補助作用
(2)摂食に関する作用
   ・消化作用
   ・嚥下補助作用
   ・味覚補助作用

がん治療を受けている人には少なからず唾液分泌低下が起こります。
これは頭頸部放射線治療が行われた方ではもちろんですが、大量化学療法を受けた方にも起こります。原因としては放射線、抗がん剤、低栄養、GVHD、ストレス等様々な可能性があります。
よって、患者さんからの訴えがなくても、がん患者さん全ての方に唾液分泌低下があると考えられます。
もう少しかみ砕いて言うと、がんと診断される前と比べ後では
「口腔健康の自然維持機能と嚥下・摂食機能」がすべてのがん患者さんで低下している
と言うことです。

また、アメリカのデータではがんと診断された場合、約6割の方が適応障害になり、その中の3割の方は大うつになったと報告されていますので、治療前からの口腔乾燥対策が必要なのかも知れません。
特に、このストレスがやっかいです。なぜなら、交感神経が有意になり唾液が「粘ちょう・ネバネバ」になるからです。

現在、放射線治療後の口腔乾燥が注目されていますが、
僕は放射線治療中や化学療法中の粘膜炎予防には口腔乾燥の緩和が最も重要だと感じています。
これは後日しっかりとした臨床データーを皆さんに提示しようと思います!!

すべてのがん患者さんは上記の唾液生理作用が低下してと考えられと言うことは
がん患者さんのお口の中は
・粘膜や咽頭に細菌が付着しやすい
・外部刺激に影響されやすい
・虫歯になりやすい
・粘膜炎が治りにくい
・栄養不足になりやすい
・飲み込みにくい
・味が分かりにい

状態になっていると考えられます。

と考えると、
医療提供者はがん患者さんに何をしなければならないか。
がん患者さんは自分で何が出来るのか。
分かりますよね(^^)V
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放射線性口腔乾燥症のマネジメント方法

2014年09月24日
9/19に口腔内科学会大会長のN教授にお声がけいただきセミナーで話をしてきました。
これには神奈川歯科大のI先生の後押しもあったと聞きますので、
大変貴重な経験をさせていただいたことを、両先生には大変感謝しております。
入場者は200人を超えていたそうで大盛況だったそうですが、
次もお声がけいただけるかどうかが成功・不成功の基準でしょうか(^^;

実は、私は頭頸部放射線治療患者さんの歯科管理をしており、かつ、塩酸ピロカルピンの保険導入のための治験のお手伝いをしていた過去があるのに、現在はほとんど処方していません。

今回、放射線口腔乾燥症のマネジメントのおさらいをし、大変よくないことをしていたと反省しております。

今回のセミナーは2010年のSuportive Care in Cancerに掲載されたシステマチックレビュー(ASCOの診療ガイドラインの手法に則った評価がされています)と2014年のLaryngoに掲載されたガイドラインのupto date 2013を参考に話させていただきましたので、ご紹介したいと思います。

下の図が今回紹介するマネジメント法です。。

マネジメントには予防的介入と治療的介入があります。

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マネジメント方法 | コメント(0)

耳下腺温存放射線治療

2014年10月05日
いわゆる強度変調放射線治療(IMRT)のことですね。
IMRTは、不規則な形状の腫瘍へ最適な線量と形状の放射線を投入するための方法で、
放射線治療装置のマルチリーフコリメータの性能と精度が上がった事とコンピューター技術の向上により可能となった方法ですね。
もう少し詳しく言うと、
多方向から強度や形の異なる放射線を照射することで最適な腫瘍線量を確保し正常組織の線量を極力下げる比較的新しい放射線治療技術で、
腫瘍線量を決めてから照射する放射線の強さや照射する放射線の形を決めるのでinverse techniqueとも言われていると思います。
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照射野を極限まで狭めるので再発率が上がるのではないかと心配されていましたが、局所制御率、無病生存率ともに従来の放射線治療と変わらないことが幾つかの研究で証明されています。
また、急性放射線粘膜炎の発生頻度や重篤度は変わらないのですが、晩期の放射線口腔乾燥症は有為に少なくなるようです。
IMRTにより RTOG grade2の口腔乾燥が12-91%から 2-69%に減少し、患者QOLの睡眠障害と会話困難を有為に改善するので、

MASCCの2010年の systematic review & guidelineでは
IMRTは唾液腺の線量を少なくすることで、口腔乾燥症状を減少させ、
全唾液分泌量を適切に維持できることを支持する多くの信頼できる研究があるので、
IMRTを放射線口腔乾燥症の予防として利用することを強く推奨
(Level II evidence, grade A recommendation)

としています。

ただし、患者QOLは耳下腺唾液量よりも全唾液量と強い相関があり、
治療後3か月の時点の唾液腺機能評価(唾液腺シンチでの)で耳下腺線量26Gy以下の症例がそれ以上の症例より有為に回復したことから、
IMRTを計画する上で、
1)小唾液腺の線量を低く(特に、口蓋腺と口唇腺)
2)耳下腺線量は26Gy以下に

することを心がけることを強調していたのが印象的でした。

放射線治療医、放射線物理士の先生方にはIMRTを選択する理由として唾液分泌温存があるのであれば、
上記の2点を気にかけて治療計画を立てて頂けるとよいかもしれません(^^)
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放射線防護剤(Amifostine)

2014年10月21日
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アミフォスチンはラディカルスカベンチャーと呼ばれ
「放射線障害の初期に悪さをするフリーラディカルと言う物質を掃除して副作用を軽減する物質」です。
これは血液中のアルカリホスファターゼにより活性化されることで
フリーラディカルを取り込み細胞ダメージを予防することが知られています。
*フリーラディカルは通常の放射線治療の組織障害の8割りを担う悪者です。
*スカベンチャーは掃除機のような物でしょうか。

放射線治療前にアミフォスチンを200 mg/m2 静注するのですが
血圧低下、吐き気、嘔吐の副作用が強く、
その後、フランスのチームが中心となり皮下注でリトライしました。
結果、低血圧症は有為に軽減出来たのですが、吐き気、嘔吐に関しあまり好意的な結果にはなりませんでした。

上の表ではプラセボに比べ
安静時唾液量の低下が長期に渡り軽減し、口腔乾燥感を軽減する
ことが示されていますが
既出論文の1167症例の結果をまとめると、
放射年単独で唾液分泌低下や口腔乾燥症状が軽減します
化学療法が併用されると唾液分泌低下や口腔乾燥症状の有意な軽減はありませんでした

結果として、
現時点では、推奨できるようなコンセンサスは得らず、勧めるかどうかはっきりしない
とされていますが、
FDAに認可されている放射線防護剤が存在することは非常に嬉しいです。
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顎下腺移動術

2015年02月01日
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RTOG等で検証され比較的注目されている放射線口腔乾燥症の予防的治療を紹介します。
刺激唾液は耳下腺からが多いが安静時唾液の60-70%は顎下腺、5-10%が舌下腺から分泌されるというコンセンサスから考案された方法で、2000年にJhaらが最初にレットジャーナルに報告しました。
今までに前向き試験が6つあり、
全ての報告でG2の口腔乾燥症が統計学的に少なくなり、
口腔乾燥に関連する自覚症状に関しても良好な結果が示されました。

エビデンスレベルの高い報告は少ないですが、
MASCC/ISOOのクリニカルガイドライン(2010)では、
リンパ節転移のない中咽頭、下咽頭がん患者においてのみで、
顎下腺移動術を利用することを提言すると述べています。

最近出されたシステマチックレビューによると、
安静時、刺激時ともに平均唾液低下率が20~30%でありIMRT(30~40%)よりも良好である点は興味あります。

顎下腺移動術とは、顎下腺をオトガイ部に移動してその上からシールドをして放射線治療を行う方法です。
顎下腺導管は温存しますが顔面動静脈を切除する点は術式にやや疑問が残ります。
なぜなら、正常な腺細胞、正常な神経伝達、良好な顔面動脈からの血液供給が唾液分泌の主要3要素はなのに顔面動静脈を切ってしまうのです。
私はアマノジャクなので???です(^^;。

副作用としては顔面浮腫が30%程度、血腫、舌下・舌神経障害、創部感染が10%程度認められましたが、いずれも数ヶ月以内に改善しているようです。

興味はありますが、侵襲が大きく、適応範囲が狭くすぎる気がします。
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