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放射線カリエス(虫歯)

2010年08月11日
今日は放射線カリエスの話です。

放射線カリエス
放射線カリエス自体は治療可能であり患者さんのQOLを大きく下げることはないのですが、

そのまま放置していると顎骨への感染ルートとなり放射線骨壊死(顎の骨が腐る)を引き起こし患者さんのQOLを大きく下げる事がありますので予防もしくは早期発見・早期治療するにこしたことはありません。放射線カリエス・骨壊死



放射線治療すると歯が弱くなると説明されている先生方や説明された患者さんが多いと思います。
本当でしょうか?


放射線の歯への影響に関するin Vitro研究において、象牙質の若干の脆弱化は報告されていますが、エナメル質は放射線による脆弱化はないとされています。
すなわち、放射線で虫歯が出来やすくなるほど歯が弱くはならないのです。
実際、頭頸部放射線治療後に歯科管理されて歯磨きの状態を理想的に維持できている患者さんは虫歯にほとんどなりません。

しかし、上の写真のように放射線治療後、虫歯が多発するのは事実ですし、放射線治療後1年程度で11%の患者さんに全顎的に進行性の虫歯が急速に発生したとの報告もあります。
なぜでしょうか?

一番の原因はがん治療による唾液分泌障害です
唾液には自浄作用(お口の中を綺麗にする作用)、抗菌作用(細菌の増殖を抑える作用)、再石灰化作用(初期の虫歯を治す作用)等、お口を綺麗に健康に保つ生理作用があるのです。

しかし、
頸部郭清術で顎下腺が摘出されると唾液の量は約2/3になり、頭頸部領域に放射線治療されると唾液の量は約1/10になり回復しないと言われています(現在、僕もリサーチしていますが事実のようです)。すなわち、唾液の持つ生理作用が頸部郭清術で2/3、頭頸部放射線治療で1/10になってしますのです。当然、お口は汚れやすくなり、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周炎になりやすくなります。

患者さんの中には歯磨きをあまりしていなくても虫歯になったことがない方もいらっしゃると思います。唾液の質や量と虫歯の発生の間に密接な関係がありますので、そのような患者さんは唾液の質が良く量が多かったのだと思います。
頸部放射線治療がされたならば、今までの良質な唾液が1/10になりますので今までとは状況が変わっていますのでしっかり歯磨きをするようにして下さい。

その他に、頭頸部がん患者さんの特徴にも原因が少なからずあります。
1) 歯磨きが好きじゃない。
2) たばこが好き。
3) お酒が好き。

これらの3点が頭頸部がん患者さんの特徴と言われています。
どうでしょうか?お医者さんは自分の患者さんを、患者さんは自分自身を振り返って見て下さい。歯磨き好きですか?たばこは?お酒は?当てはまる項目はあるでしょうか。
歯磨きが好きじゃない場合、お口の中が綺麗でないですから虫歯になります。
たばこは歯肉の血流を悪くし歯肉退宿を引き起こし虫歯のなりやすい場所を露出させます。また、口腔乾燥を増強します。
お酒と虫歯や口腔環境との直接の関係は?ですが、お酒を飲み過ぎた後の歯磨きは面倒くさくなって適当にやることが多くないですか??


患者さんへ
頭頸部放射線治療がされたら今までの10倍歯を磨きなさいなんて言いません。
少なくとも、毎食後にしっかっり時間をかけて丁寧に行って下さい。
可能なら、歯医者さんで歯磨きの指導を受け、自分にあった歯ブラシを選んでもらい、定期的な口や歯のチェックと歯のクリーニングをしてもらって下さい。

そして、たばこ、お酒、悪い口腔衛生状態、、、
これらは総て「がん」の原因です。

せっかく、治療したのですから、
自ら再発しやすい環境をを作る様なことはせず、健康を心がけて、
がんになる前よりも健康に、そして、笑顔で暮らそうじゃありませんか(^^)/
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カルシウム・リン補充療法

2015年08月02日
本日から4週間のみ全文がダウンロードできると Springer社からメールが来ましたのでURLを紹介します。
日本語英語ですので読みやすいと思います(^^;
リン酸カルシウム補充療法の原文

クリックするとダウンロードできます。

頭頸部放射線治療患者さんで、
「MIペーストを使用した患者さん」と「MIペーストを使用しなかった患者さん」の
1年間の根面う蝕発生率を比較した論文です。

結果として、
「MIペーストを使用した患者さん」は「MIペーストを使用しなかった患者さん」と比べ、
有為に根面う蝕の発生率(歯面数、発生者数ともに)が少なかったです。

特筆できる点は、
ザラザラした状態の根面が半年程度で硬くツルツルになった症例が認められた点です。

この結果を踏まえ当科では、
唾液腺の廃用予防も期待して、リカルデントガムを全ての頭頸部放射線治療患者さんに紹介しています。

論文の詳細な紹介は後ほどさせて頂きます。
とりあえず、原文に目を通して頂けると嬉しいです。
来週からのロングバケーションのため、
仕事が立て込んでおりますのでご了承くださいませ(自分が悪い・汗) m( v )m
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フッ化物+MIペースト応用の放射線性う蝕の予防効果

2016年05月03日
Springer社から
放射線性う蝕に対するフッ化物+MIペースト応用の効果
の論文が正式に掲載されたと報告が来ました!

放射線性う蝕の予防は放射線性顎骨壊死の予防にもなりますし、
う蝕治療のための医療費の削減効果も期待されます。

タイトルは
Effects of casein phosphopeptide–amorphous calcium phosphate with sodium fluoride on root surface conditions in head and neck radiotherapy patients

Oral Radiology 32(2)の105-110ページ(DOI :10.1007/s11282-015-0218-4)に掲載されました。

5/30まで無料でPDFファイルが手に入りますので、
興味のある方はメールもしくはメッセージしていただけると嬉しいです。

放射線性う蝕予防のためのフッ化物応用は基本ですが、フッ化物応用のみでは予防困難なのが放射線性う蝕です。
これは様々な理由があるのですが、
主な理由は、放射線によるエナメル質や象牙質の変性ではなく、
放射線による唾液分泌低下からくる唾液生理作用の低下です。
本研究は、フッ化物に歯質に取り込みやすい状態にしたカルシウムとリンを加えることで
「唾液生理作用の再石灰化作用」と「歯質の耐酸化(虫歯になりにくい歯にすること)」の強化を試みた研究です。

放射線性口腔乾燥症患者をフッ化物応用のみの患者とフッ化物にMIペーストを応用した患者に分け、
1年間前向きに歯の状態を調査しました。
*後者は前者より、う蝕予防に関して前向きであるというバイアスがある可能性がありますが、ご了承ください・汗。

バイアスを考慮しても、結果は驚くものでした
下の表の様に
根面う蝕の発生率が71%(7%)→17%(1%)に低下したのは当然なのですが、
MI-1_20160503124427f65.jpg

下の表の様に
根面のLeathery lesion(初期う蝕)がHard lesion(健全歯質)に回復した症例が認められたのです!!
MI2_20160503125247a43.jpg

私は、
この結果は、頭頸部放射線治後のう蝕がフッ化物応用のみでは予防困難であることの、
本当の理由を示しているのだと考えています。

表の数字のみでは分かりづらいので、
実際の症例写真を供覧します。
MI3_201605031224461c0.jpg

いかがでしょうか?

多分、
放射線性口腔乾燥症患者だけでなく、
フッ化物応用のみではう蝕予防に苦慮している、
全ての口腔乾燥症患者(例えば、シェーグレン症候群)に応用可能だと思います。

この論文が rapid articleに掲載された後に、
様々なジャーナルでカルシウム・リン補充療法(フッ化物+MIペースト応用)が放射線性う蝕予防のためのフッ化物応用の次の一手として紹介され始めたことは、本当にうれしく思います。

う蝕予防に興味のある口腔乾燥症患者さん、
口腔乾燥症患者のう蝕予防に苦慮している歯医者さん、
興味がありましたら、ぜひ!!


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根面う蝕リスクの高い患者さんに対する対応の参考に。。

2018年04月05日
根面う蝕の予防と治療に関する文献をレビューした論文で、
最初に検索された1102論文の中で最後に残った82論文(私の論文カテゴリーは68論文)に私の論文が含まれていたことは大変嬉しいです。
私の論文に対する言及は2行程度ですが、う蝕になりやすい放射線口腔乾燥症患者さんへの有効性なアプローチとして紹介されたのは感無量!!

たぶん、再石灰化に対する唾液補助を考慮した予防戦略は間違いじゃないと思います。

根面う蝕の現状と治療戦略の論文

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