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粘膜炎マネージメント術;オプション-総論

2010年04月29日
前回は粘膜炎マネージメントにおける標準ケアについて述べました。
今回からは粘膜炎マネージメントのオプションです。

ここで勘違いして欲しくないのは、
オプションとは標準ケアに加えることで効果が発揮
されます。
また、
不要な場合は行わないのがケアにおけるオプションの考え
です。

たまに、
標準治療を行わずいきなりオプションを行っている施設
を拝見しますがこれは
大きな間違い
です。

あくまでも、
オプションは標準治療を更に効果的にするための手段
でしかありません。
車等でもそうですよね、標準装備があってこそオプションは光るものだと思います(^^;。

次回からMASCC/ISOOのガイドラインに示されている粘膜炎緩和のオプションについていくつか抜粋して話したいと思いますが、

その前にMASCC/ISOOのガイドラインsummaryを表にしたので示しまね。
クリックすると大きくなります。
      ↓
粘膜炎緩和 summary
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治療的介入:Cryotherapy(クライオセラピー)

2010年05月01日
よく知られている方法ですよね。
具体的には、化学療法開始約5分前から30分間氷を口に含んでもらう方法です。
口腔粘膜を冷やし血管収縮させることにより、口腔粘膜に到達する抗ガン剤の量を下げて、炎症誘導性のサイトカインや炎症細胞浸潤の発生を抑制し粘膜潰瘍形成期を遅らせることを目的としています。

ガイドラインでは
5-FUのbolus投与に推奨
メルファラン、エダトキサレートのbolus投与への有効性を示唆しています。
そして、投与法としては短時間 bolus投与で有効であり、
放射線粘膜炎の予防としての役割はないと断言しています。

残念なことに、現在、5-FUは低容量長時間投与が主流ですから、効果を引き出すことはなかなか難しいかも知れません。
なにせ、24時間氷を舐め続けることは患者さんのQOLをかえって下げてしまう様な気がします。

また、放射線治療で使用した場合、腫瘍の位置によっては抗腫瘍効果を下げてしまう心配がありますので注意が必要です(腫瘍を冷やすことにより抗腫瘍効果で大切な放射線の酸素効果やラジカル作用を下げてしまう可能性があるからです)。

ガイドラインの他に幾つか論文をまとめて表にしましたので見て下さいね。
クリックで大きくなります

5FU.jpg


また、以前、僕がまとめた学会発表(いきなりオプションを行った場合と標準療法とオプションを組み合わせた場合の粘膜炎抑制効果の比較)のスライドが有りましたので、参考までにどうぞ
対象は頭頸部がんのCRT症例で、有害事象はCTCAE ver 2で評価しています。
クリックで大きくなります

名称未設定 1のコピー


そして、僕なりに考えた5FUの低容量長期投与での効果的な使い方を考えました。
5FUの持続投与の場合、投与後15分で最大血中濃度、6時間後に定常状態となるので、
5FU投与5分前~最低6時間、10~20分おきに口腔内を冷水または氷で冷やすのはどうだろうかと思っています。

う~ん、いまいち説得力ないなぁ(^^;
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治療的介入:Growth Factors(Palifermin)

2010年05月08日
今まで放射線治療患者さんを中心に診ていた僕はあまり興味なかったのですが、
現在、化学療法中心の小児がん患者さんを診始めて非常に興味のある optionです。

Paliferminはまだ日本では認可されていませんが FDAでは認可されています。
MASCC/ISOOのガイドラインでは、
PaliferminであるHuman keratinocyte growth factor-1は化学療法による粘膜炎緩和に有用であるとして推奨され、特に、幹細胞移植の前に大量化学寮法とTBI(全身照射)を受けるような悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、血液悪性腫瘍等に有効だそうです。

使用法は化学療法を受ける前の3日間と後の3日間、および幹細胞移植の直前に60μg/kg/dをivでbolus投与するようです。また、化学療法前後24時間以内の投与とヘパリンのラインで投与してはいけないようです。

WHOの分類の Grade3~4の粘膜炎発生率を有意に低下させ(30~40%減少)、Grade4の粘膜炎の時期を2/3に短縮できたそうです(9日から6日に短縮)。
最近では、国内でも消化器癌の化学療法の粘膜炎緩和で治研が進められ有効性が示唆されていますので、幅広く使用できそうです(Grade2以上の粘膜炎が50%から10%に減少)。

もうすでに、骨髄抑制を起こす化学療法を行われる血液がんの患者さんの粘膜炎緩和薬としてFDAで認可されています。
確か日本でも武田さんが臨床治験していたような気がします。

文献を幾つか読みましたが、 WHOのGrade3~4の発生率を有意に低下させるようなので、僕が関わらせてもらっている小児科の子供達に使ってみたいなぁって切に思います。

小児科の先生達と本院でも臨床治験してみたいなぁなんて思っちゃってます。

武田さんにどこまで治験が進んでいるか聞いてみようかんぁ。
そして、 WHOの Grade3~4の発生率を有意に低下させるってことは、
経口摂取を継続できる患者さんが増えるし
これに口腔ケアをコラボレーションさせるとって考えると

なんだかワクワクしちゃいます(^^)/
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治療的介入:Laser Therapy(レーザー治療)

2010年06月08日
一緒に仕事をさせて頂いている先生から、「学会で粘膜炎予防・緩和のためのレーザー治療が効果的だと聞いたが知っているか」と質問を受けました。その質問に対し僕は一般的な歯科臨床で口内炎の治療に利用される低エネルギーレーザー照射、いわゆる、ソフトレーザー(diode laser)、CO2レーザーやYAGレーザーは知っているが化学療法による粘膜炎緩和には効果があるとは聞いたことないし効果的とは思えない」と、自分の使用経験からお話ししました。加えて、「数年前に講演で聞いた新しいレーザー療法のことでは」と答えたのですが、色々と調べたところ、低エネルギーレーザー照射が粘膜炎緩和に有効そうですので急遽、オプションとして紹介させて頂きます。お恥ずかしい話ですが、MASCC/ISOOのガイドラインでもしっかりと紹介されていましたが見落としていたようです。
僕の周りには、色々なことを与えてくれるばかりでなくこの様な再確認の機会を与えてくれる先生方がいて、本当にこの環境には感謝です!!

さて、本題に入ります。

MASCC/ISOOのガイドラインでは、
もし、必要な技術と訓練を行うことが出来る施設であれば造血幹細胞移植前の化学放射線治療または大量化学寮法を受けている患者さんの口腔粘膜炎の発生とそれに伴う痛みの軽減のために使用することを提案する(エビデンスレベル3~5)としています。必要な技術と訓練を行うことが出来る施設であればと限定したのはlow level laserは高価な機械であり特別な訓練が必要であるからとされていますが、diode laserは比較的安価ですしその他のレーザーも低出力に設定していれば安全性には問題ないように思います。

主に使用されている装置は、
low level laserといわれるHelium-neon (He-Ne) laser (632.8 nm) とdiode lasers(570-950nm)、gallium aluminum arsenide infrared semiconductor(GaAlAs) laser(488nm)であり主に使われている波長は450-750nmでした。歯科領域で主流となりつつあるNd;YAG laser(1064nm)の報告はないようですが設定次第で Nd;YAG laserも利用できそうです。

使用方法は、
治療では粘膜炎が出現してから毎日連続で5-7日間レーザー治療を受け、予防では化学療法開始または前日から化学療法終了または造血幹細胞移植終了(or +2d)までレーザー治療を受けるものが多いようです。

効果は、
幾つかの多施設研究は low level laser治療が化学療法や放射線治療による粘膜炎の重篤度を軽減することを示したそうです。具体的にはWHOの分類でgrade4の粘膜炎の治癒期間がレーザー以外の治療では平均16日であったのがレーザーの使用で平均6日に短縮したとか、潰瘍を伴う粘膜炎の発生率が70-90%から50%に減少したとか、疼痛スコア(OMI)が40-50%減少したとか魅力的な結果が得られていますが、有効性が示されなかったという報告←クリックもあるのでもう少し検証が必要ではないでしょうか。僕がlow level laser治療が魅力的だなと思ったのはどの研究においても主だった有害事象がなかった点です。

粘膜炎予防・治療促進の機序は、
一般的にこれらのレーザー照射によりコラーゲン産生能の増加,白血球の増加,プロスタグランディンF2の増加とE2の減少,S期の細胞の増加,末梢神経刺激効果,毛細血管の新生増殖等の組織の賦活化による創傷治癒促進ですから、粘膜炎の治癒促進は理解できるのですが粘膜炎予防のメカニズムは不明です。一応、low level laser治療は放射線や化学療法による粘膜炎の発生機序に関与している活性酸素のレベルや炎症性サイトカインのレベルを減らすのではないかと推測されているようです。また、様々なレーザーのタイプと波長等が使用されており、より効果的なタイプや周波数は非常に興味ある点です。作用機序も含めこれらは今後の研究課題として面白そうですね。

今まで僕はあまりレーザー治療に興味がなかったのですが、optionの選択枝は多くあった方が患者さんのためにもなりますし、もう少し勉強してみようと思います。

まずは、僕の病院にあるかどうか調べなくては、あはは(^^;
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治療的介入:Anti-inflamatory Agents(抗炎症薬)

2012年05月22日
今回は塩酸ベンジダイングルタミンについてです。

塩酸ベンジダインはTNF-αを含む炎症性サイトカイン前駆体を阻害する非ステロイド性抗炎症薬(N-SAID)である。リリペン錠が有名ですね。

ベンジダイン塩酸塩を混和させたうがい薬を中程度の線量(40-50Gy)頭頸部放射線治療患者さんに使用してもらったところ、粘膜炎の重篤度が減少したことが幾つかの論文で報告されていることから、
MASCC/ISOOのガイドラインでは、中程度の線量の放射線治療を受ける頭頸部がん患者さんでの使用を推薦しています。

しかし、このうがい薬は日本では販売されていませんし、現在の頭頸部癌放射線治療は、化学療法の併用が多く線量が50Gy以上の場合が多いので、あまり有効な手段ではないかも知れませんね(^^;

も一つのグルタミンは去年あたりから注目されていますね。

グルタミンの粘膜炎緩和の作用機序は炎症性サイトカイン前駆体の産生とサイトカイン関連アポトーシスを減少させ粘膜障害を軽減させ、繊維芽細胞とコラーゲンの産生を増加させ粘膜障害の治癒を促進するとされています。
使用法は化学療法開始から終了14日後まで1日3回経口混濁液として使用し、その後30分間口腔内に何も入れないという方法です。

多くの論文は潰瘍を伴う粘膜炎や疼痛の訴えが減り、麻薬の使用期間が短くなることを報告しています。

エーザイさんが数年前に phase III studyをしていたと記憶しているのですが、その後はどうなったのでしょうか?エーザイさんに問い合わせようと思います。

似たようなものが大塚製薬さんからGFO(グルタミン・ファイバー・オリゴ糖)という商品名で販売されています。
P1020214.jpg

ここで気をつけて頂きたいのは、粘膜炎緩和に有効性が示唆されている使い方は口腔混濁液としての含嗽剤としての使用とi.vでの非経口使用です。通常のGFOの様に飲み物として飲んでも同様の効果があるのでしょうか?実は去年、僕は放射線粘膜炎緩和に関する口腔外科の看護師さんの看護研究で利用させて頂きました。この看護研究は対象にバラツキがあり過ぎたせいかもしれませんが、効果に関しては?でした。
また、幾つかの報告で下痢は緩和できたが粘膜炎は強くなり、2年以内の再発がグルタミングループで増加(←クリックで原文へ)したという報告から、

MASCC/ISOOのガイドラインでは全身投与(i.v)で使用しないことを推奨
しているのが現状です。
また、使用すると分かるのですが、味も人により好き嫌いがあり使用感にも疑問が残ります。

僕の個人的な考えですが、再発が増えたという報告は少々気になりますが、
今後の研究の展開が気になる optionの一つではあります。
そして、エーザイさんが買収したMGI PHARMA社のUp-Tecxという技術は非常に気になります。。
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