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粘膜炎マネージメント術 1;総論

2010年02月22日
これから
総論
口腔ケア(狭義の口腔ケア)
疼痛コントロール
栄養サポート
口渇緩和
出血の管理と口内炎への積極的な治療介入(薬物療法)

について述べていきます。

今回は総論です。

= 総ての支持療法で心掛けること =
上記の6項目は単独でなく総てが結びつく粘膜炎ケア(多分、支持療法総てが結びついていなくてはならないのでしょうが)が重要だと書いてあります(当たり前ですね)。
また、がん医療にはチームA,チームB、チームCの3チームが必要だと
MD Anderson Cancer Center は提唱しています。

理想的ながん医療の概念図
粘膜炎ガイドライン総論1

特に、病院という現場では患者さんを中心とした関係者(チームA,チームBに関連するスタッフ)の仕事の内容、現在の対応については知っていなければならない
MD Anderson Cancer Centerの腫瘍内科医の上野先生 も講演でおっしゃってました。

がん医療チームの職種・役割・目標
クリックすると拡大します。
     ↓

粘膜炎ガイドライン2

がん医療に限らずすべてのチーム医療の現場では、自分のチームの仕事の把握は最低限必要ですし、その他のチームの仕事の把握も当然必要なんだと思います。
すねわち、がん医療チームの一員になった場合、歯科医師だから治療は分からない、医師だから口腔ケアや看護師の仕事は分からない、看護師だから歯科衛生士だから栄養士だからではダメなのです。

円滑な情報共有のためには、チーム内カンファレンスだけでなくAとBの2チームによる合同カンファレンスは最低でも週1回のペースで必要だと僕は思いっています。

ちなみに僕の施設では頭頸部外科医・放射線腫瘍医・歯科医師・看護師・薬剤師(NSTを兼務)での合同カンファレンスを週1回のペースで行っています。
このチームに歯科医師である僕が参加できるようになったのは10年程前です。当時は「何で歯医者が?」って目で見られかなり辛かったですが今は我々の介入があるまで放射線治療は行われません(^^)V

そして、支持療法においては、患者さんが主観的に自分自身を評価し、医療者が客観的に患者さんを評価しなさいと書いてあります。
すなわち、患者さんに行っている支持療法について常に評価してもらい、継続か変更か常に考えなければならないという事なのだと思います。

次回は口腔清掃(狭義の口腔ケア)について述べたいと思います。


= 補足 =
合同カンファレンスが行われていない場合、すぐに合同カンファレンスを行うのは難しいでしょう。
しかし、情報の共有は行えると思います。
最近ではHIS等の電子カルテ方式の病院が増えていますので、その様なシステムの病院では比較的簡単に行えると思います(関係者にメールを送ればいいのですから)。
もし、無視され続けたら。。患者さんが不幸ですので、僕ならしつこく問い合わせます(^^;。

また、どんな様式でも良と思いますが、アセスメントシートと患者さんのセルフレポートシートを作成し、患者さんやチーム内で情報を共有することも大切です。そうすると支持療法がストレスなく行われる様になり、指示伝達不備による患者さんのストレスも減ります。
偉そうなことを言いましたが、僕の施設はケアプロトコールはあるのですが、アセスメントシートとセルフレポートシートがなく、夏までに試作品を作らなければと思っています(^^;
以前に紹介した、静岡県立がんセンターとサンスターさんが作成したマニュアル本の最後に参考になる簡略アセスメントシートがありますので参考にしようかと思っています。

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粘膜炎マネージメント術 2;口腔ケア

2010年03月14日
MASCC/ISOOガイドラインに、
口腔清掃は粘膜炎予防だけではなく全身感染症のリスクのある患者さんに対し有意にプラスに働くと書かれています。
これは粘膜炎の発生と増悪の機序を考えると当然ですね。
第一の目的は口腔内の細菌の減少だそうです。
口腔清掃による粘膜炎の発生率減少のデーターは放射線治療、全身化学療法、移植患者さんのデーターが示されていました。
僕の施設の報告とほぼ同様かやや低い結果となっていました。
この理由は後述の我々の施設の口腔ケアと一般的な標準ケアの違いで判断して頂ければと思います。
第二の目的は口腔内常在菌による敗血症のリスクの減少だそうです。
敗血症に関しては放射線治療単独では関係なく、化学療法を行うかが支持療法介入の鍵になりそうです。
しかし、敗血症のリスクをどれくらい減少させるか示した報告はないそうです
今後の研究課題ですね!!

MASCC/ISOOがはじめに推奨しているのが
患者さんと介助者への口腔ケアの教育
です。
すなわち、
我々歯科関連医療者は患者さん、介護者(ご家族、看護師さんでしょうか)への歯磨き方の指導をし、
介護者は患者さんと一緒に歯磨きの指導を受けなければならないのです。

そして、僕は口腔ケアの教育で最も重要なのは方法の指導ではなく、
なぜ口腔ケアをしなければならないのかを理解して頂く事だと思います。
MASCC/ISOOガイドラインにはその様なことは述べられていませんがあえて「教育」と表現したのにはその様な意味も含まれているんだと思っています。
実際にがん支持療法を行っている方には理解して頂けると思います。

標準口腔ケアの基本は、
柔らかめの歯ブラシフロスの使用と生理食塩水によるすすぎです。
NHI等の代表的な支持療法のHPを見てまとめてみますと、
標準口腔ケア(セルフケア)
1) 歯磨き方はバス法
2) フロスの使用
3) 歯磨剤は使用しない
4) 生理食塩水等の non-medicatedなうがい液

のようです。

僕の施設では
1)歯磨き方はバス法
2) 歯間ブラシの使用
3) スポンジブラシの使用
4) 歯磨剤は使用しない
5) アズノール製剤のうがい薬

で行っています。

歯磨きはバス法:これはもっとも感染経路となりやすい歯周ポケットの清掃です。
歯間ブラシの使用:この理由は小児がん以外は壮年層が多くフロスよりも使用しやすく安全だからです。小児の場合でもフロスは使用を勧めていません(お子さんが嫌がって口腔ケアそのものをさせてくれなくなることがあるからです)。
スポンジブラシの使用:粘膜の微小潰瘍からの感染を防ぐためとフィブリン(口腔内細菌のコロニー形成の温床)の除去のためです。
歯磨剤を使用しない:これは安定剤としてアルコールが含まれる物が多く、場合によっては粘膜炎や口腔乾燥を引き起こすからです。
アズノール製剤でうがい薬:これはMASCC/ISOOのガイドラインに反しています。使わない方が良いのかも知れません。僕たちは抗炎症作用、抗酸化作用、創傷治癒促進に期待をして使用しています。刺激等で使えない場合には生理食塩水を代用しています。

セルフケアの回数は1日3回です。
食事を取らなくても関係ありません
なぜならば、粘膜は皮膚の親戚です。常に細胞の代謝でよけいな垢のようなタンパク質が出てきます。それが細菌が繁殖するためのエネルギーになるからです。

歯磨きの具体的な方法
1) アズノール製剤でうがい
2) アズノール製剤を歯ブラシにつけてバス法で歯磨き
3) アズノール製剤を歯間ブラシにつけて歯磨き(小児はのぞく)
4) アズノール製剤をスポンジブラシにつけて粘膜磨き
5) 2時間に1回のアズノール製剤によるうがい、嘔吐時にはその都度追加
です。

当然、全身状態を加味して減らしたり無くしたりすることもあります。
たまに、スポンジブラシのみ、うがいのみの施設が見受けられますが、
僕たちは全身状態を加味しながら許される範囲で最大限歯磨きを行っています。

なぜならば、口腔内細菌の約80%は歯の周りに存在します。その他約20%が粘膜なのです。
歯の形態は非常に複雑で、スポンジブラシでは歯の周りの細菌の除去は困難なのです。
特に全身感染の経路である歯周ポケットの清掃は不可能です。
全身感染症予防には歯ブラシが一番です。

しかし、歯ブラシを行わない時期もあります。
それは、血小板数です。1万~2万までと施設により幅がありますが、
僕の施設では血小板 2万以下またはPT-INR 3以上と決めています。この時期はスポンジブラシもしくはうがいのみです。
なぜならば、もし出血があると止血困難になるからです。

まだまだ、書ききれないことがあるのですが、今日はここまでにしておきます。

次回は粘膜炎緩和のための薬(オプション)について説明しようと思います。

口腔ケア | コメント(0)

粘膜炎マネージメント術;オプション-総論

2010年04月29日
前回は粘膜炎マネージメントにおける標準ケアについて述べました。
今回からは粘膜炎マネージメントのオプションです。

ここで勘違いして欲しくないのは、
オプションとは標準ケアに加えることで効果が発揮
されます。
また、
不要な場合は行わないのがケアにおけるオプションの考え
です。

たまに、
標準治療を行わずいきなりオプションを行っている施設
を拝見しますがこれは
大きな間違い
です。

あくまでも、
オプションは標準治療を更に効果的にするための手段
でしかありません。
車等でもそうですよね、標準装備があってこそオプションは光るものだと思います(^^;。

次回からMASCC/ISOOのガイドラインに示されている粘膜炎緩和のオプションについていくつか抜粋して話したいと思いますが、

その前にMASCC/ISOOのガイドラインsummaryを表にしたので示しまね。
クリックすると大きくなります。
      ↓
粘膜炎緩和 summary
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治療的介入:Cryotherapy(クライオセラピー)

2010年05月01日
よく知られている方法ですよね。
具体的には、化学療法開始約5分前から30分間氷を口に含んでもらう方法です。
口腔粘膜を冷やし血管収縮させることにより、口腔粘膜に到達する抗ガン剤の量を下げて、炎症誘導性のサイトカインや炎症細胞浸潤の発生を抑制し粘膜潰瘍形成期を遅らせることを目的としています。

ガイドラインでは
5-FUのbolus投与に推奨
メルファラン、エダトキサレートのbolus投与への有効性を示唆しています。
そして、投与法としては短時間 bolus投与で有効であり、
放射線粘膜炎の予防としての役割はないと断言しています。

残念なことに、現在、5-FUは低容量長時間投与が主流ですから、効果を引き出すことはなかなか難しいかも知れません。
なにせ、24時間氷を舐め続けることは患者さんのQOLをかえって下げてしまう様な気がします。

また、放射線治療で使用した場合、腫瘍の位置によっては抗腫瘍効果を下げてしまう心配がありますので注意が必要です(腫瘍を冷やすことにより抗腫瘍効果で大切な放射線の酸素効果やラジカル作用を下げてしまう可能性があるからです)。

ガイドラインの他に幾つか論文をまとめて表にしましたので見て下さいね。
クリックで大きくなります

5FU.jpg


また、以前、僕がまとめた学会発表(いきなりオプションを行った場合と標準療法とオプションを組み合わせた場合の粘膜炎抑制効果の比較)のスライドが有りましたので、参考までにどうぞ
対象は頭頸部がんのCRT症例で、有害事象はCTCAE ver 2で評価しています。
クリックで大きくなります

名称未設定 1のコピー


そして、僕なりに考えた5FUの低容量長期投与での効果的な使い方を考えました。
5FUの持続投与の場合、投与後15分で最大血中濃度、6時間後に定常状態となるので、
5FU投与5分前~最低6時間、10~20分おきに口腔内を冷水または氷で冷やすのはどうだろうかと思っています。

う~ん、いまいち説得力ないなぁ(^^;
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治療的介入:Growth Factors(Palifermin)

2010年05月08日
今まで放射線治療患者さんを中心に診ていた僕はあまり興味なかったのですが、
現在、化学療法中心の小児がん患者さんを診始めて非常に興味のある optionです。

Paliferminはまだ日本では認可されていませんが FDAでは認可されています。
MASCC/ISOOのガイドラインでは、
PaliferminであるHuman keratinocyte growth factor-1は化学療法による粘膜炎緩和に有用であるとして推奨され、特に、幹細胞移植の前に大量化学寮法とTBI(全身照射)を受けるような悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、血液悪性腫瘍等に有効だそうです。

使用法は化学療法を受ける前の3日間と後の3日間、および幹細胞移植の直前に60μg/kg/dをivでbolus投与するようです。また、化学療法前後24時間以内の投与とヘパリンのラインで投与してはいけないようです。

WHOの分類の Grade3~4の粘膜炎発生率を有意に低下させ(30~40%減少)、Grade4の粘膜炎の時期を2/3に短縮できたそうです(9日から6日に短縮)。
最近では、国内でも消化器癌の化学療法の粘膜炎緩和で治研が進められ有効性が示唆されていますので、幅広く使用できそうです(Grade2以上の粘膜炎が50%から10%に減少)。

もうすでに、骨髄抑制を起こす化学療法を行われる血液がんの患者さんの粘膜炎緩和薬としてFDAで認可されています。
確か日本でも武田さんが臨床治験していたような気がします。

文献を幾つか読みましたが、 WHOのGrade3~4の発生率を有意に低下させるようなので、僕が関わらせてもらっている小児科の子供達に使ってみたいなぁって切に思います。

小児科の先生達と本院でも臨床治験してみたいなぁなんて思っちゃってます。

武田さんにどこまで治験が進んでいるか聞いてみようかんぁ。
そして、 WHOの Grade3~4の発生率を有意に低下させるってことは、
経口摂取を継続できる患者さんが増えるし
これに口腔ケアをコラボレーションさせるとって考えると

なんだかワクワクしちゃいます(^^)/
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